仏教

 何気なく土曜日の朝のNHKラジオを聞いていて、面白いことを耳が拾った。本当に何気なくだから、どんな内容のものか定かではないが、恐らく仏教かなにかの話だと思う。勿論NHKだから怪しげな布教を目的にしていたのではなく、確か大学教授がどこかで講演したものを録音して流していたのだと思う。  いくつか耳に残っているのだが、思い出すことが出来たものをアットランダムに並べてみようと思う。こんな内容の話に耳を傾けてしまうのは歳をとったからではない。アホノミクスを先頭に、あまりの現代人の精神の劣化に心が痛むからだと思う。 何時代か分からないが、昔僧侶は超が付くほどのエリートだったらしい。学問的に優れているのはもちろんだが、市中に出向きライ病の患者を世話したりしたらしい。肩書きに見合う仕事をしていたと言うことだ。  それから昔の日本人は、ほとんどがのたれ死にだったらしい。この言葉の持つニュアンスは、否定的な意味を持って聞こえるが、天皇やほんの一握りの人を除いて葬式なんてやってはもらえなかったのだ。勿論医学も発達していないから、いつどこで死ぬか分からない、正にのたれ死になのだ。と言うことは死はいたるところにあったってことだ。今や犬や猫の死体さえ見なくなったから、死は神秘のベールに隠されてしまうが、そのせいで日本では死が極端に忌み嫌われるようになったらしい。  写経したものを池の底に沈めておくと、6000年くらい後に仏様みたいな人が救いに来てくれるなんてことも言っていたが、その辺りは良く分からなかった。仏教徒は気が長いなんてことを講師が言っていたようにも思える。  いざ書き始めると、ほとんど覚えていないことに気がついた。朝のウォーキングの途中に聴いたものだから、印象深かった単語だけが頭に残っていたのだろう。その中でも、のたれ死にが一番印象深かったのは、朝まだ暗い内に歩き始める僕自身に重ねてしまったのかもしれない。