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 まず電話がかかってきて、その後FAXが入ってきた。NHKの健康番組と連動した雑誌の広告掲載の案内だった。よく目にする雑誌の名前だからここに書けば誰もが分かるだろう。興味がなかったので金額のところしか見なかったが、なんと1ページが120万円だった。何回も数えてみたが間違いはない。100万部くらい売れていて、1冊3.5人が目を通すとか書いてあった。だから安いというのだろうが、そんなお金があれば、僕なら過敏性腸症候群の若者達をもっと我が家に泊まらせて、完治させたい。高級な雑誌に名前を載せるだけで実力がある証明にはならない。泥臭く治してこそ価値がある。僕を知っている人は、もう分かっているが、白衣のポケットに穴があいていて、そこからボールペンが丸まるぶら下がっていても、病気はなおせられる。自分ではTシャツのつもりだったが、実はただの肌着を着てしまっていても病気はなお去られる。そもそも僕は100万を超えると滅多関係ない数字だから、まるを数えなければ分からない。全国の漢方薬局に軒並み電話しているのだろうが、気の毒だが僕のところに連絡をくれたのは間違いだ。今日は超豪華にいくぞと決めてもラーメンしか食べれなくても病気はなおせられるし、20年くらい持っている財布にお札が入ったことは滅多にないくらい物に価値を置かなくても、病気はなおせられる。病気を治すのに立派な舞台装置は要らないし、カリスマ的な風貌も言葉使いも要らない。ただ泥臭い挑戦をひつこくやっていくしかない。一見華やかなもの、正しいものには気をつけたほうがいい。人間と一緒だ。