ミルクコーヒー

 多くの人が好むミルクコーヒーは、コーヒーとミルクと砂糖の3つの要素で成り立つ。3つのうちでどれが欠けても、ミルクコーヒーにはなり得ない。ところが逆にこの3つがあってもそれだけではミルクコーヒーにはなり得ない。この3つの要素を結びつけるものが必要だ、それは水だ。水がなければ3つの要素はバラバラに存在するだけで、ただのコーヒーやミルクや砂糖でしかない。皆が愛するミルクコーヒーにはなり得ないのだ。これらの要素を結びつけるもの(水)は僕らの世界ではなになのだろう。金か、掟か、慣習か、道徳か、法律か、倫理か。  色々な個性の人が、色々な職業を持って、色々な地域で、色々な夢を持ち、色々な挫折を味わい懸命に生きている。全ての人を結びつけることが出来るとしたら、普遍性を持っている「愛」だけなのだ。他者を大切に出来る心しか、この社会では水にはなれない。ところがその水が、どんどん減っている。地球の砂漠化ではないが、人の心も地球に負けないくらい、砂漠化が進んでいる。水がない生活が考えられるか。無責任な刹那の栄光を求めている大人達によって、将来の過酷な日常を約束されている世代がもう育っている。気の毒としか言い様がない。法律ではさばかれない、とんでもないことをこの国の大人達はやっている。ことが重大なのは、誰もそのことに気づかずにやっているということだ。