肯定

 うまく貼り付けられるのか自信はないが、最近偶然ベトナムのユーチューブを見ることがあった。以来、同じような内容のものが毎日のようにアップされるからつい見てしまう。まったく僕が意図するものと違うものを貼り付け

てしまうかもしれないが、この20年の自分の行動が、その映像の中で肯定された。
 とても現代の日本では女性がこんなことはしないだろうと言う映像で、いや男でもしないと思うが、丸太を担いで山を下りる姿だ。林業に従事している若い女性なのだろうか、あるいは農家の方の日常なのだろうか、腰を痛めている僕は顔をゆがめながらでしか見ることが出来ない。
 近くの観光地や庭園を日帰りで案内する。第九のコンサート、和太鼓のコンサートを体験してもらう。今はその程度しかできないが、それでももし映像の中のような仕事をしていた人達だとしたら、人生20年目にして初めて経験する楽しいプレゼントになってもらえているかもしれない。この程度で、僕が受けている親切のお礼になるのだろうかと、迷いながらもその程度しかできないと開き直っているが、彼女たちの満面の笑みを見た時や、感嘆の言葉を聞いたときにはほっとする。
 かつては見られなかった垢抜けたベトナム人を一人二人見てからは、もうこうした親切は必要ないのではと思う時もあったが、まだまだほとんどが農村部出身だ。僕や僕の兄弟姉妹を預かり、わが子のように世話をしてくれた戦争未亡人のおばちゃんの、夕方鍬を肩に担いで畑から帰ってくる姿と重なる。60年前のあまりにも鮮やかな僕の心の風景画。

13 tháng 1, 2023 - YouTube

 

危機一髪

 他人からしたらそんなに大げさな事と思われるだろうが、僕としたら危機一髪と表現できるレベルだった。
 このところニュースでも時々伝えられているが、この1年くらい調剤用の薬がなかなか手に入らずに、綱渡り状態だ。ジェネリックの会社の不祥事やコロナで処方に偏りが出来たりで、スムーズに生産流通が出来なくて、ほんの少しの量が時々入ってくると言うなんとも心細い状況に置かれている。
 当初は現代薬に限っての滞りだったのだが、最近になって漢方薬でも同じようなことが起こり始めた。コロナに使うための処方の欠品が多いが、そんなにお医者さんが漢方薬を使っていたの?と言う印象だ。決定打がないコロナに、漢方薬を飲ませるメリットが大きいのだろう。解熱剤や咳止めを出すより立派に見えるから。
 今日僕が、いや正確にはこの1週間ヒヤヒヤ状態で過ごしていたのは、薬ではなく分包紙不足のためだ。いつもなら注文して数日で届くのに、2週間経っても品物が来ない。催促すると来週にはと言う返事が来た。ただし、今日の時点であと数人しか作れない状態にまで追いつめられているからほとんど焼け石に水だ。
 そこで数年倉庫に眠らせておいた、古いタイプの分包紙を引っ張り出してきた。これがまた重いので、ちょうどやってきた体格の良いフィリピン人に頼んだ。さすがで、僕が3人くらい必要な作業を一人でやってくれた。
 いろんなものが不足がちなのはこの何年間のすう勢だが、僕は石油不足で分包紙が足りなくなっていると思っていた。ところが、急遽製造会社に掛け合って、特別ルートで手に入るように手配してくれた問屋の若いセールスが、「実は先月、分包紙が値上げでして、それを知っていた医療機関がいっぱい買いだめされたんです」と教えてくれた。なんだ、ウクライナ問題が牛窓に響いたのではなく、単なる値上げ前の駆け込みかと、落胆した。この田舎にまで世界情勢が響いているのかと高尚な絶望が、めちゃくちゃ卑近な失望に変わった。なぜなら本当は、若いセールスの説明が「恥ずかしいことですが」で始まっていたから。
 病院の隣に建てられた門前薬局で荒稼ぎ出来ていた古き良き時代も、一世を風靡した古き良き分包機とともに去っていくのか。

 

過敏性腸症候群、うつ病のご相談は栄町ヤマト薬局へ

 

窮鼠猫を噛む

 機械音痴 不器用 時代遅れ・・・全部自認する僕がよくやったと思う。窮鼠猫を噛む。
 それこそ昼前、急に電話機が使えなくなった。数分前に、あるお医者さんから電話を受けたばっかりなのに、例のプープー音がしなくなったのだ。試みに携帯電話からかけてみても使えない。その時間帯は調剤で忙しいから、運悪く電話をくださった方に、1時間後、1時間半後に再電話をくださるように連絡していた。おそらくその方たちが2回目の電話をくださるだろうから、失礼を重ねることになって心苦しく、結構焦った。
 ただ上記の3種混合の僕だから焦っても結果は出ない。誰でもやってみるだろう、接続部周りを調べてみたが、一向に功を奏しない。時間ばかりが過ぎていき、ストレスマックス状態になり、遂にNTTに泣きつこうと電話番号を探した。ところが最近企業は、全国の電話をコールセンターで集めるから余程運がよくないとなかなか通じない。そのことが頭に浮かんだのと、携帯からかけると話は出来ないが、液晶の電話がかかってきたメッセージは出ることから、ふとあることに気が付いた。ひょっとしたら電話機自体の故障ではないかと。
 そこでNTTに連絡するのをやめて、電話機のシャープに連絡して教えを請おうと思った。インターネットで連絡先を探そうとしたときに、シャープ 電話機 故障と言うキーワードが並んでいるのを見つけた。そこに接続してみると、いくつかの故障のパターンが載っていて、僕でもやってみることが出来そうな方法があった。そして一番目に載っていたのが、まずコンセントからコードを抜いて、もう一度差し込んでみると言うものだった。これなら簡単だからやってみると、なんと一発で電話機が復活したのだ。これは本当に嬉しかった。不器用を売りに諦めの速さを発揮しなくて良かった。
 機械だらけでないと薬局もやって行けない時代になったから、いくら苦手と言っても必要な機械はそろっている。ただそれらが故障したときの不便さは、なんとも言えない不快感を連れて来る。丸で手が出ないものの部類だから、ストレスは半端でない。
 ところがなぜか今日は、少しだけ投げやり時間がやってくるのが遅かったおかげで、自力で脱出できた。そういえばパソコンも嘗て同じようにして回復していた。現代の機械はこうして復活するのか。意外と原始的な復活方法だとギャップに苦しむ。
 なにわともあれ、1時間くらいの時間のロスで、結局はどなたにも迷惑はかけていなかった。あと何年こうしたストレスと同居するのかと憂鬱になる。

 

過敏性腸症候群、うつ病のご相談は栄町ヤマト薬局へ


 

安全運転

7年とはすごいですね。
もう7年若かったらまだまだ僕も色々なことが出来ていたのでしょうが、
この7年も大きいです。
何かを成し遂げると言うより、何かを失った7年かもしれません。
僕を教訓として、今を大切に充実させて過ごしてくださいね。
あなたに服用していただいているのは、ストレスを減じて自律神経を乱さない、そんな処方です。
今作りましたから今日発送します。
ヤマト薬局
 

 ある方から漢方薬の注文を頂いたときに7年と言う数字が出た。漢方薬を7年利用していただいていることイコール、7年健康に過ごしていただいていると理解できる「飲み方」だから、少しは貢献できているかと思うが、その7年と言う数字を聞いたときに、僕は上記のような感慨がわいた。その方は僕より若いから、何かを成し遂げたり手にした7年かもしれないが、僕にとっては、ゆっくりとできなくなったものが増えていた時期のような気がする。できなるなることの恐怖から、決して消極的に過ごしているつもりはないが、体力を要するものはおのずとブレーキをかけしまう。できなくなることの前にダメージを受けてしまう可能性があるからだ。取り返しがつくならいいが、つかないダメージも想定しておかなければならない。若い時にあれだけ忌避していた人生の安全運転が、今は身に染みて習慣化される。

 

【旅行支援が生活困窮者の障害になっている!?】2023年1月5日のれいわ新選組・不定例記者会見にて山本太郎代表が越年ボランティアでの実体験を語った! - YouTube

鉄条網

 一見元気そうなのに、摩訶不思議な不調を抱えていた女性が、結構元気になった。土曜日に話をしている時に、お嬢さんが「お母さんが漢方薬で凄く元気になったから、私も漢方の先生になろうか」と言ったらしい。
 来年大学受験らしいが、まだまだ具体的に目標が立てられずに、迷うばかりしているらしい。そんなお嬢さんだったのに、珍しく具体的な職業を口にしたから母さんも喜んでいた。
 漢方の先生と言ってもおそらく僕を見てのことだから、薬剤師と言うことだろうが、最近は薬科大学も6年制になったから、大変だ。6年間も集中力を切らさずに勉強するのは大変だと思う。僕など4年間でも地獄のように長かったのに、いや何故か僕は5年間だったが、それこそ地獄の5年間だった。今の5年なら毎日がするべきことの洪水だから新幹線並みのスピードで時が流れてくれるが、当時はするべきことはあっても、しない日々だったから、匍匐前進程度のスピードだった。好きでもない薬学と言う名の鉄条網の下を潜ってどこに到達しようとしていたのだろう。
 お嬢さんの通う高校は分からないが、息子さんが、今日サッカーで全国優勝した学芸館高校に通っていて、土曜日に行われた準決勝の試合を、僕が煎じ薬を作る間スマフォにかじりついて観ていたが、ここにきて本当に岡山県の僕の近くのエリアで色々ないいことが連続して起こる。伝えられるビッグなニュースには及びもしないが、一人の若者の将来の職業に影響を与えられたとしたら、僕の近くのエリアでの砂粒程度のニュース。そこでお母さんに助言してあげた。「薬科大学に入るためには頭より、顔よ」と

山本太郎が見事な論法で素人大臣に完全勝利 - YouTube

倉敷天領太鼓

 3月に倉敷で行われる和太鼓のチケットを買いに倉敷に行ってきた。倉敷天領太鼓と山部泰嗣のジョイントコンサートだ。彼らのコンサートは無駄な修飾が一切ない。和太鼓ファンにはたまらないのではないか。ごまかしがないことくらい難しくて、それだからこそ心を打つものはない。
 今日は成人式みたいで、美観地区は派手な和服で着飾った若い女性たちが沢山いた。色鮮やかな着物を見て何の感動もわかず、大人、或いは行政、或いは企業のセットした舞台に立たされているマネキンを見ているようだった。曇天の空から吹き降ろす冷たい風の中での生活を余儀なくさせられていながら、良くもそんなにナルシシズムに浸っておられるものだと呆れてみていた。視線を送るほどの輝きを放っている人はいなかった。
 飢えない程度に餌を与えられ、見えない檻の中で生きている家畜のように現代の若者が見えた。団結して檻を壊さなければ、人間にはなれない。

 

【山本太郎】竹中平蔵もつまみ出せ!【れいわ新選組】#山本太郎 #れいわ新選組 #山本太郎切り抜き #切り抜き #竹中平蔵 - YouTube

恩恵

 当時の人間なら、皆がそう思っていたのかもしれないが、漠然と仕事は55歳で引退すると考えていた。
 そのうち世の常識が、60歳になり、65歳になり、今では70歳と言う声が大勢を占めるようになった。まったく世の流れに沿って僕も仕事を続けてきたが、今は75歳をイメージして毎日働いている。
 人は生きた年数に比例して色々な経験をする。幸か不幸か薬局をやっていたら、自身が経験した体調不良は役に立つ。教科書よりリアルだから。そしてそれを克服した経験はさらに役に立つ。所詮薬局の守備範囲は軽医療だから、日常しばしば遭遇する体調不良を克服できればいい。そしてもしそれが漢方薬みたいに自然原料のもので克服できればさらに良い。
 こうした理由で、75歳までは仕事をしようかなと思っている。目の前に現れる方の訴える不調が年とともに理解しやすくなるから。もう数年はお役に立てれるのかなと思う。ただ僕の場合は、商品を手渡すのではなく、薬局製剤と言う漢方薬を作るから、意外と肉体労働的な要素も含んでいて、立ったりしゃがんだりが多い。手元の作業も必須だから、肩も首も凝る。元々鍛えた体ではないから、よほどメンテナンスしないと、頭より先にそちらの方が悲鳴を上げそうだ。
 そのためにウォーキングとかストレッチを欠かさないが、この寒さでその効果など吹っ飛んでしまいそうだ。温暖な晴れの国で育ち、一時期岐阜で過ごした後、帰ってきたから、北国の人のように強靭な体力や意志は持ち合わせていないが、身体が風雪に晒されなかった恩恵だけは残っている。意図して境遇を変える機会も動機もなかったが、その恩恵だけを頼りに、あと数年頑張らせてもらおうかと思っている。

 


平和を生む日本の「変わり身の早さ」と「節操のなさ」がおかしな方向に…(三枝成彰
きのうまで「鬼畜米英」を唱えていた人たちが、敗戦となった途端、「アメリカ大好き、民主主義バンザイ」を唱えた。この変わり身の早さと節操のなさゆえに日本は滅びなかったといえる。
日刊ゲンダイ保阪正康さんのコラム「日本史縦横無尽」によれば、なんと8月15日のポツダム宣言受諾直後に、当時の警視総監(前日まで風俗紊乱や反戦主義者を取り締まっていた右翼の先鋒)が米軍相手の「特殊慰安施設」をつくれと命じたという。総監は都内の主要な接客業組合の代表者を集めて、「米軍が駐留中は愉快に過ごしてくれることが望ましい」とのたまったとか。
そんな節操のない日本が、おかしな方向に走り出そうとしている。岸田総理は自民党の麻生副総裁から「有事の宰相」と持ち上げられ、政治的難題に答えを出すのが「私の歴史的役割」と述べた。
戦時中、軍医見習だった故・箕輪登議員は自民党きってのタカ派だったが、「先制攻撃は絶対にいかん」「政治家が考える一番の人間の幸せは平和だ」と言ったという。田中角栄も「戦争を知らない世代が政治の中枢となったら危ない」と言ったそうだ。
そもそも総理が属する宏池会吉田茂池田勇人の流れをくむもっともリベラルな派閥だった。中国を“仮想敵国”としたところで、日本の10倍の超大国にはかなわないに違いない。かつての対米戦争と同じだ。北朝鮮の軍備増強も日本などハナから問題にしていない。
だがマスコミはそれを報じない。岸田総理らへのお追従の記事ばかり載せるさまは、戦前のマスコミが軍国政府の言いなりだったのと同じだ。
先の戦争で死んだ兵士たちは、日本をこんな国にするために犠牲になったのではない。当時もみな「生きて虜囚の辱めを受けず」という東条英機が作った“戦陣訓”に縛られて亡くなった。敗戦後、当の東条本人が連合軍に虜囚の辱めを受けて裁かれる結果となったが、彼は平和をどのように考えていたのだろうか。
もちろん国の守りは必要だ。自衛官(国家公務員)の給料は警察官や消防士(地方公務員)よりも低く、定年も早い。国防の重責を担う彼らはもっと優遇されるべきだが、武器や兵器を買うために予算を増やす必要はない。
ロシアのウクライナ侵攻の遠因は、欧米人から侮蔑され、三等国扱いされてきたことへのプーチンの恨みである。その行いはむろん非道だが、西側諸国にも責任はある。日本人は明治以来、ロシアの文物に親しんできた。私も若い頃は歌声喫茶で「カチューシャ」や「黒い瞳」などのロシア民謡を聴いたが、欧米人はロシアを“敵性国家”だと差別してきたのだ。
■人が生きる権利は何よりも尊い
シベリア抑留経験者は、米軍が捕虜の労働に給料を払っていたと聞いて仰天したという。70万人の日本兵を不法に連れ去り、うち10万人を理不尽な強制労働で死なせたソ連に比べると、アメリカは人道的に映る。だがそのアメリカも朝鮮戦争ベトナム戦争で蛮行を重ねた。60年代の公民権運動で黒人差別を撤廃したのは素晴らしいが、いまだに人種差別は根強く、多くの問題を抱えている。
日本が彼らにならう必要はない。国を挙げての差別や殺戮とは、永久に決別しなければならない。命が大事、平和が第一だ。人が生きる権利は何物にも代えがたく尊いものだ。それを奪うことは、国家にさえも許されないのだ。

三枝成彰/作曲家)