確率

 99%とは絶対の一歩手前で使われる具体的な数字の割にはおよそ過ぎるずぼらさも持ち合わせている。しばしば会話に出てくるが、その数字を実際に検証したことはない。きょうその具体的で不確かな数字を僕は検証した。   久しぶりに従姉妹の子が訪ねてきてくれた。彼の仕事は詳しくは知らないのだが、家庭を訪問して結構台所辺りまで入れて貰えるものらしい。設備関係の仕事だろうか。彼が過去数千軒、いやハッキリと4000軒という数字を口に出したが、訪問したお宅で、嫁と姑が仲良かったところなど滅多になかったと言った。滅多どころか2軒だけだったと、これ又具体的な数字を出した。 コンロを綺麗にしないとか、料理が下手だとか、攻撃材料には事欠かない。所詮他人が同じ屋根の下で暮らすのだから仕方ないと蘊蓄も挟んでいたが、見たくない光景や聞きたくない愚痴に耐えて仕事をしていた姿を想像すると滑稽でもある。僕みたいな仕事なら日常茶飯事だが、設備関係?の仕事をしていてこんなことに付き合わされたらかなわないだろう。 彼が帰ってから、何故か3つの数字が気になった。99%、4000人、2人だ。そこで計算機をとりだして実際に確率を出してみると、0.05%だった。だから正確には彼は「99.95%の確率で嫁と姑は上手くいっていない」と言うべきだったのだ。そして彼の表現は大袈裟ではなく寧ろ控えめだったことになる。99%と言う表現が控えめに使われるのは珍しい。絶対に事故は起こらないとか、千年に一度とか、見てきたような嘘をつく奴らとはえらい違いだ。肩書きに比例してついた嘘に、肩書きに比例した刑罰を与えるべきだ。