目障り

 数年来、それこそ「とにかくだるい」らしくて、色々な科にかかったが、どこが悪いとハッキリ指摘されないまま、いろんな薬を頂いたが、どれも効かなかった。
 話し好きみたいで、僕の質問に倍返しをするが、本当は帰って横になりたいくらい会話だけでも疲れるそうだ。病名がつかないのに、本人は苦痛を訴える。よくあることだが、こうしたときには漢方薬が役に立つことが多いというか、漢方薬しかないだろうとこちらは思う。ただし患者として百戦錬磨だから、田舎の薬局の漢方薬など始めから信用していない。
 それなのに、なぜか飲むことになった。それも面倒くさいと、はなから拒否された煎じ薬を飲むという。僕は2週間分作って飲んでもらうことにしたが、なんとなく2度と来ないような気がしていた。ところが2週間してやって来て、少し手ごたえがあったみたいだ。
 その後、数回作ったところで、その人が偶然息子が書いた処方箋を持って来た。岡山市内から引っ越してきたらしくて偶然息子の所を選んだらしい。現代薬をもらうために月に2回通院するらしいから、その時に一緒に煎じ薬も頼めばいいと提案した。
 僕はその人の不調をメモして渡していたのだが、息子が一度大学病院で検査をしてもらったらと提案したらしく、紹介状を持って診てもらいにいったらしい。そこで専門的な検査を受けたのだが、やはり「どこも異常はない」と言う診断で、折角効果を感じている煎じ薬があるのだから、それでいいのではと言われたらしい。その時に先生が、お薬手帳に載っている息子の処方をコピーさせてくれと言われたらしい。
 しいて言えば慢性疲労症候群あたりと、病院では言われてきているらしいが、専門の先生もあの手この手と試行錯誤されているのだろう。息子の、元をただせば田舎の薬局の処方でも、興味を引いてもらえたのかと不思議な感覚だった。
 40年前に、近隣のお医者さんたちに馬鹿にされながら、漢方薬を勉強した。恐らく目障りだったのだろうと思う。患者が漢方薬が効いたなんて言うと、自尊心が傷ついたのだろう。今では漢方の世界も、お医者さんが中心の、いや〇〇〇が中心の世界になってしまったが、あの頃の僕たちに向けられた軽蔑を含んだ視線は忘れない。

4/20(土) 19:30~ プレミア配信【澤章・元都庁幹部が語る小池百合子知事の虚像と本当の姿/都庁の変質、「共犯」の大手記者たち】 - YouTube