射程

 僕にとっては珍しいことだ。夕食後ソファーでついうとうとしてしまった。
 薬局に来てくれる人はすでに目撃しているが、この2、3週間くらい、僕は何でも屋さんをしている。恐らく、本来の僕の仕事だろう漢方相談と漢方調剤は勿論、OTCの販売からレジ打ちまで全部こなしている。
 従来、漢方調剤は役割分担で能率よくできていたが、今は薬草を棚から取って並べ、計量して、分包機で分包する。薬袋に名前を書き、使った薬草群を又棚に戻す。恐らく従来の2倍以上の時間を費やしていると思う。待たせてはいけないと言うプレッシャーは勿論、そもそも体力の消耗が激しい。
 また今週の頭にいわゆる風邪をひき、1日は結構倦怠感があった。その夜にはあえて長時間寝るぞと9時には床に就いたが、結局朝の7時まで寝ていた。普段7時間くらいが僕に適していると思っていたが、10時間寝てしまったことになる。こんなに長時間寝ることが出来るんだと、自分で驚いた。
 鼻声がまだ残っているから、店頭ではバレてしまい「先生でも風邪をひくの?」とか、「不死身かと思っていた」などと言いネタにされる。でも岡山市から通ってきてくれる女性が「先生がいなくなったらどうすればいいの?」と聞きようによっては結構シビアな内容のことを、軽く笑顔で言った。確かにそのあたりも射程に入れてこれからを過ごさなければならなくなっている。つい最近まで「歌って踊れる薬剤師」を目指していたが、今じゃ歌うのは膝位なものだ。

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