絶滅危惧種

 漢方薬のための分包機と言うものは存在しないから、現代薬のものを使わざるを得ないが、薬の量が多いことと、湿気やすいものを調剤することにより壊れやすい。普通車より高い分包機をしばしば買い替えることは出来ないから中古品を使うようにしているが、その分不都合を起こすことがしばしばだ。今日も朝からそのためにてんやわんや。
 てんやわんやと言っても僕は何もできないから、メーカーに修理を依頼する。休日でも待機していてくれて今日も来てくれたのだが、その中で一つだけ面白い発見をした。
 来てくれた技術者は30代半で経験もかなりあると思うが、僕が不具合を再現するために、ある患者さんの漢方薬を調剤して見せると彼はとても驚いて「こんなに量が多いのですか?」と驚愕した。その驚きように驚いたが、病院や調剤薬局がもっぱらのお得意様だから、漢方薬を調剤しているところを見たことがなかったみたいだ。考えられないくらいの量を、その上今日は雨だったので、分包機をドライヤーで乾燥させながら調剤している様子を見て、2重に驚いていた。漢方薬は現代薬みたいに石油からできているものではないから湿気をすぐに吸ってしまい、分包機が使えなくなる。
 僕は患者さんの体重によって微妙に量を調節するから、会社で前もって分封されているものはほとんど使わない。量ったり分包したりする作業もないし、湿気たりしないから出来出来の製品は便利だが、同じ大人でも体重が50㎏の人と80㎏の人の薬の量が同じと言うのは抵抗がある。そういった意味で分包機は超必需品なのだが、超壊れやすい物でもある。そのジレンマを解消するために病院用の調剤に使う分包機のおさがりを使い続けている。
 多くの薬局を回っている彼が初めて目撃した漢方調剤。僕らは全国に5万以上ある薬局の絶滅危惧種なのかもしれない。

 

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