不燃粗大ごみ

 なんとも情けない話だ。この程度の重さでも腰の心配が先に立ち、恐る恐る腰を入れて運ばなければならないのかと。
 若い人なら何でもないような電化製品をいくつか捨てた。2階から駐車場の車まで、車から集積所の地面まで。夜陰に紛れてのことだから、怪しまれることはあっても同情されることはない。どうやら僕は怪しまれるより同情されるほうが応えるタイプらしい。確かに、学生時代の服装や風貌は、警戒されても仕方ないくらいのものだった。おかげで、四六時中一緒にいても一瞬たりとも緊張しない、特異な仲間と青春時代を送れた。水前寺清子の歌のように「ボロは着てても心は錦」とまではいかずに「ボロは着てて、心もボロボロ」あの頃しか出会えない人達と、あの頃しかできない生活を謳歌した。
 明日が不燃粗大ごみの日だと急に気が付いて運んだのだが、ボロは着ててもの頃に僕の物に対する価値観が出来上がったので、とにかくまだまだ物が多い。ただ、本当に捨てなければならないような大きなものは、もう手が出ない。こちらの体が壊れて、こちらが不燃粗大ごみになりそうだ。いや、生物学的には燃えるゴミなのだろうが。

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