道具

 毎年一回、薬局で使う秤の点検を受ける。社団法人計量器組合とか何とかという所から来てくれるが、丁度僕が漢方薬を作っている最中に来られたので、初めて職員の方と言葉を交わした。いつもは黙々と作業をこなして帰って行くだけだったが、今日はお互いの邪魔にならない程度の言葉を交わした。
 印象深かったのは、僕が今でもこんなのを使っていると自嘲気味に言った上皿天秤についての彼らの評価だった。と言うのも見た目にも古そうで、実際に古いものだ。父の代からという訳でもないだろうが、少なくとも僕が帰って間もない頃には既にあったような気がする。と言うことは半世紀か。毎年検査に合格しているから、機能そのものは大丈夫だろうが、見た目にいかにもと言う感を免れない。ただし、まだまだ十分出番はあり、重宝もしている。
 最新の機械で、100分の1ミリgまで量れる電子天秤も2つあるが、なぜか自分の薬を作る時には上皿天秤で測ってしまう。特に1回分を作る時には便利だ。何か不調になって早めに漢方薬を作って飲んでおこうとするときには、薬を載せて錘より少し薬の方が傾くくらいを量る。要は少し多めに飲むと言うことだ。自分の薬だから正確を期す必要もない。
 そこで気になる彼らが言った言葉は「昔のものは壊れにくいですから、まだまだ使えますよ」だった。いろんな機械で使われる言葉だが、古くてよいものの誉め言葉だ。古いから現代のものに比べて劣るに決まっているが、昔の物や技術に対してのリスペクトが受け継がれている。
 どこがどんなに不都合で買い替えなければならないのかと、いつも疑問と怒りに襲われるパソコンなどに比べて、悪意が全く感じられない。道具も人間と一緒に成長する、そんなノスタルジーが感じられた彼らの一言だった。

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