言葉

 我は海の子 白波の。だから山も知らない、湖も知らない、川も知らない。
 我は西の子。だから東北地方の有名な湖は十和田湖猪苗代湖しか知らない。ただし、十和田湖猪苗代湖がどこにあるのか知らない。
 今日福島県の方から、漢方薬の注文メールを頂いたときに、人生で初めての言葉を知った。何となく興味はあったが、知らないことに何の不便も感じてこなかったから追及せずにいた。ところが今日ずっと疑問に思っていたことの回答が急に降って来た。
 海が遠い人や、元々海がない県の方たちは、所謂僕らが夏休みの多くの時間を過ごしていた海水浴を、川で泳ぐ人や池で泳ぐ人や湖で泳ぐ人はどう呼ぶのだろうと疑問に思っていた。ところが今日のメールの中でお母様が「子供を連れて湖水浴に行くことが増えた」と書かれていた。ああ、湖で泳ぐことを湖水浴と呼ぶんだと、結構衝撃的だった。その上、70年にして初めて耳にする言葉がまだあることにも、衝撃を受けた。
 そこで僕は考えてみた。川で泳ぐことをどう呼ぶのか、池で泳ぐ人をどう呼ぶのか。川水浴か?池水浴か?
 限られた空間の中で生きていると、生涯接しない言葉が積もりに積もって来る。ただ、怖いのがその知らないことに気が付かないことだ。ふとしたメールの中で使われていた単語に、今日は良い意味で振り回された。

 

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