コロナのせいで勉強会がズームになり、その利便性と経済性が評価され、コロナが収束してもその形式だけは残った。
 そのズームがもたらした功績は大きい。普段出席できない地域の勉強会にも画面越しに出席できるし、全国の頑張っている同業者たちの姿も見ることが出来る。
 土曜日の夕方訪ねてきた男性を、あるメーカーのズームの画面で見た。30年前、まだ新人だった彼は、僕の薬局の担当になり、広島から毎月一度訪ねてきていた。その彼が今や広島営業所の所長になって、勉強会の挨拶や締めくくりをしている。その時の語り口で「よく勉強しているな」と言う印象を受けた。30年間、単に薬を売り込むのではなく、薬や養生の情報をいろんな薬局から集めたのだろう。努力の成果が画面越しに伝わって来た。
 春の人事移動で30年ぶりに僕の薬局の担当になった。久しぶりなので、半分以上は思い出話に時間をとられたが、面白い話を一つ置いて帰ってくれた。
 彼曰く「現代人の1日に入って来る情報の量は、江戸時代の人間の2年分」だそうだ。これは彼の考えではなく、彼も又「だそうだ」と言う言い回しを使ったので、何かで読んだのか、誰かの講演で聞いたのだろう。
 この2年にどのくらいの信ぴょう性があるのかそこは疑問だが、なんとなくわかる。例えば江戸時代の牛窓だったら、どこどこの彦左衛門が転んでけがをしたとか、どこどこの太郎兵衛が、犬にかまれたとかの情報しかない。インターネットで瞬時に世界中の情報に接することが出来るのだから、ひょっとしたら2年分どころではないかもしれない。だから彼は、仕事から帰ったらすべての情報を遮断するそうだ。
 人間の脳ってここまで耐えれるのかと感心するが、耐えられない人も多くいるのではないか。なぜなら20数年前に処方箋を調剤し始めた頃、こんなに沢山の人が心療内科にかかっているのかと驚いた記憶があるから。幼い時から勉強を強要され、脳を鍛えるはずが、脳(心)を壊しているのではないかと思えて仕方ない。

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