几帳面

 ああいったものを共振と呼ぶのか、共鳴と呼ぶのか、或いはどちらでもないのか僕には知識がない。
 昼下がり、薬局の入り口を開けて仕事をしていた。すると、店舗前の駐車場にバックで車を止めようとしている気配があった。入りやすさより出やすさを優先する人の特徴だが、えてしてこの手の人には几帳面なタイプが多い。
 ただバックで入ってきたのを察知したときから、エンジン音がやたら耳に付き、鼓動をかく乱し始めた。ただそのかく乱ぶりが尋常ではなく、どれだけ大きな車なんだと思わせるほど鼓膜や心臓を攻め立てる。運転が下手なのか慎重なのか分からないが、しばらくの間攻撃にさらされて、やっとのことでエンジンを止め入ってこられた。
 持ち主は2年前くらいから漢方薬でお世話をしている方で、僕より数歳年上だ。実家が僕の実家と歩いて10秒くらいの所にあったから、幼い時には当然見ているし、ひょっとしたら遊んでもらったこともあるかもしれない。母親同士が大の仲良しだったこともあり、半世紀以上ぶりの再会が懐かしかった。
 もちろん僕はその方が半世紀以上どこでどう過ごしてきたかを知らないし興味もない。ただ、とても温厚で知性的に歳をとられていて、良い人生を送ってこられたんだと勝手に想像している。
 今日のかく乱ぶりは尋常ではなかったので、車を家族が確認すると、従来のベンツではなくBMだった。
 隣町に今は住んでいるその方が、どのような職に就きどのように過ごしてきたかは全くわからないが、まるで似合わない車をまるで似合うように、淡々と一道具にしているところがクールだ。嘗ての僕のようにぶつかっても死なないと言う唯一の動機が彼にもあるのか、単なる車好きか分からないが、とても丁寧に人と接っする人にふさわしい車なのかどうか僕にはわからない。ただあの家をも震わすエンジンの迫力には驚いた。

三浦瑠麗の自己矛盾。自ら大きい闇を抱えながら山上被告や木村容疑者を断罪し続ける三浦氏。その心理的背景には今の「エリート」の地位を失いたくないという強迫観念がある。元朝日新聞・記者佐藤章さんと一月万冊 - YouTube