神戸の名医、が誰だか僕は知らない。ただこの1,2年で同じ表現をした人が数人漢方薬の相談に来たから、確かにおられるのだろう。各々が別の名医を指しているのか、同じお医者さんを指しているのか分からないが、そんな名医を差し置いて僕のところに漢方相談に来るのだから気の毒だ。マンションを買って週末には、わざわざ神戸から来られる人も多いくらいだから、引っ越してきた人たちもその名医にかかることは可能なはずなのだが、代替品が僕では申し訳ない。
 「黄色い汚い鼻汁がいっぱい出てスッキリしました。初めてのことです」と・・・僕の前では言わなかった。何年、いやひょっとしたら何十年名医にかかっていても、こんなにすっきりしたのは初めてだとしたら、僕も田舎の名医になれるかも。ただ僕は薬剤師だから、息子を紹介して処方箋で服用してもらっている。スッキリ発言は息子に言ったらしく、息子が処方箋の写しに経過報告としてメモってくれていた。だから効果を知ることが出来たのだ。
 漢方薬局が減る一方で、漢方を標榜するお医者さんが増えた。薬剤師など相手ではない実力を備えている医師もいっぱいいるだろう。とくに大都会では当然名医も育つ。そういった患者さんが自然を求めて牛窓に住み、仕方なく僕の所にやって来る。
ただ、ここがだめなら次、そんな代替品は田舎にはない。何とか僕の所で食い止めたいと思い懸命に頑張ってはいるが、裏切ってしまうことも多い。ネクタイにスーツ、せめて品だけと思っても、残念ながら田舎者は「だいたいひんがない」

加川良「流行歌」(2002年 LIVE) - YouTube