靴下

 雨の日以外は、8時ごろまでドッグランで草刈りや枯草燃やしをしている。土の上を歩くことになるから、それ用のスリッパをはいていくようにしている。誕生日プレゼントに息子からもらったものだが、薬局のものとは区別して使はないと薬局内を汚してしまう。
 スリッパは、病院で使うようなもので、真っ白で足先が大きく開いている。だから草は勿論姿勢によっては靴下の先が直接土に触れることも多い。ただ僕はそんなことは一切気にならないから、一日そのまま履き続ける。
 昨日家に戻ったときに、両足の靴下の同じようなところに草の破片がくっついていた。意外と土が柔らかかったので、地面のしゃがみこんで一角の草を抜いたときの名残だろう。これまた気にならないからそのままにしておいた。仕事で歩き回れば落ちてくれると思ったから。
 夜、台所で食事をとろうとしたときに、その草がまだくっついたままであることに気が付いた。その時初めて取って捨てようと思い、指でつまむと取れない。そこで目を凝らしてみると、なんとアルファベットが縫い込まれていたのだ。その字がⅬとR。そこで初めて気が付いた。左足用と右足用とを教えてくれているのだ。
 何と言う親切とは思わなかった。なんというお節介、これが僕の印象だ。まるで人を子ども扱いにしている。いやむしろこれは、痴呆老人用か。それにしては僕が学生時代からひたすらこだわっている白い靴下で、老人が履くようなものではない。
 妻が先日買ってきてくれたものを初めて履いたのだが、買ってくれた本人は当然その文字入りを知っている。だから僕に言った。「お父さん、左右反対じゃが」

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