そこは緑の絨毯どころか、緑の茣蓙だった。
夜間の風の音で眠りにくくなったらいやだと思って、ビールを飲んで寝たおかげで、あまり不安なく朝が迎えられた。同じように風が音を立てて木々を揺らしても、あたりが明るくなってからでは恐怖感が全く違う。
目が覚めた時間帯には雨は止んでいたので、草抜きには最高のコンディションだ。きっと面白いくらい容易に抜けるはずだ。休日だから運が良かったら、かなりの範囲で草が抜けるはずだ。喜び勇んでドッグランに向かうと、目に入ったのは山際にある狭い方のドッグランが一夜にして緑の絨毯状態になっていたことだ。遠目にはそのように見えたのだが、驚いて近づいてみると、緑の茣蓙状態だった。昨夜からの強風で、山から葉っぱが飛ばされて積もっているのだ。中には小枝も混じっている。
経験したことがないと言う最近お決まりのフレーズに脅かされていた割には、この程度で今のところ済んでいると、感謝しながら膝まづいて草抜きを始めたが、案の定ほとんど快感に近いくらい簡単に抜ける。生暖かい強い風が絶え間なく吹いてくるが姿勢を低くしての作業だから危険はない。東と西からトタンがはげかけているのか、時折危険な音がする。
明日の朝までは風もきついだろうからいったい茣蓙の厚さがどれくらいになるのか分からないが、またここで一つ勉強をした。枯れ葉以外にも葉っぱは落ちるのだと。