健気

 一息つこうと思い、ドッグランから帰りかけたのが朝の7時半頃だった。7時頃、僕は草抜きの作業を始めたがその時はいなかった女性が、入り口に何やら手に持って立っていた。
 僕の気配に気が付いた女性は、おはようの挨拶をしてくれたが、近寄ってくる車に高く掲げて案内しているポスターらしきものが何か気になったので尋ねてみた。すると女性はその紙を見せながら、少年野球の大会が今日あるんですと教えてくれた。
 ドッグランと中学校の体育館の入り口が正に対面だから、ドッグラン側に立ち案内すればわかりやすい。
 クーラーで体を冷やしてからもうひと仕事しようと家を出たのが8時過ぎ。女性がまだ立って案内しているのが見えた。そこで自動販売機でミネラルウォーターを買い、ついでに僕は缶コーヒを買い、彼女に「熱中症になっちゃうよ!」と言いながら勧めた。すると女性は飲み物は持っていると言って辞退した。確かに小さなリュックを背負っているからその中にあるのだろう。朝とはいえ直射日光を浴びれば熱中症になる危険がある。まだ若そうだったから、僕らみたいに簡単にやられるってことはないだろうが、交代してくれる人もいないみたいで立ち続けている姿が健気だった。
 遠くから見るとほとんど顔が隠れているくらいに暑さ対策はされているみたいで僕の出番はなかったが、それからは心配することなく自分の作業を続けた。
 ああして縁の下の力持ちを色々と経験しながら、立派な社会人になっていくのだろうなと、何十年前の自分を思い出した。サッカーとバレーボルの少年団を10数年指導したが、思い出されるのは走ったり飛んだりしていた自分の姿。今は「ありえない」動きの数々がごく当たり前にできていたのが不思議だ。あの頃の体力がある間に、もっと何かに挑戦しておけばよかったが、興味の対象があまりにも狭く、ただ生きていただけのような気がする。全否定の後悔ではなく、なんとなく悔やまれる、いやこれでは後悔と同じだ。未練?心残り?どんな言葉を選んでも微妙に違うような気がする。

 

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