時代劇

 時代劇でもあるまいし、「1間半、血が飛びましたよ。あんなこと本当にあるんじゃ!」と80歳も半分以上過ぎている方が言った。
 その方も、実のお姉さんも原爆被爆者。お姉さんは90歳を回っているらしいが、どちらも二十歳までは生きられないと言われていたらしい。それがおめでたいことにお二人とも長寿の部類に入りそうだ。処方箋を持ってくる度に、当時のことを話すが、何十回と聞いた話をまるでコピーしたように話されるから、話の腰を折るタイミングを探すのにこの数年は必死だ。
 ただ今日は冒頭の話が出たから一瞬興味が沸いた。なんでも、止血していたところのガーゼを剥いだところ、血が1間半も噴水の様に飛んだらしい。まるで時代劇と思ったのは僕で、実際にそんなことがあるんだと驚いたし、頸椎動脈の圧力って凄いんだと教えられた。無駄なことは何もないと言うが、最近はエンドレスの会話に付き合うほど体力もないし暇でもない。何十回も我慢して耳を傾けた挙句の小さな収穫だった。
 処方箋を受けたり、漢方相談もできなかった頃は、時間も体力も余裕があった。楽しく会話し、なにがしかの商品を持って帰ってくれればそれで用は済んだ。薬が効けばそれを作った会社のおかげ。効かなければ、それを作った会社のせい。僕達は安全地帯にいた。だから時間つぶしの会話にも十分付き合えた。
 時代が変わって、煎じ薬を患者さんに合わせて作るようになり、処方箋でもかなり注意を要するような内容のものが増えた。一番の売りだったつまらない会話や、何も生み出さない時間が無くなった。効率が優先される事務的な薬局になりそうだったが、運よく?外堀は時代に埋められても、僕自身の肌が合わなかった。
 高尚とはかけ離れているが、ふと笑いがこぼれて、筋肉が弛緩して、あわよくば持病が改善する、この道しか僕にはない。

 

またまた刑事告発!国会議員の経歴詐称は逮捕ですよ?岬麻紀衆院議員に経歴詐称の疑い。セルフ領収書、タワマン好きの元社長の経歴を調べたら怪しすぎる!元博報堂作家本間龍さんと一月万冊 - YouTube