大の男

 大の男が3人、頭を突き合わせるようにして、色とりどりの小さな石を、紋様の下書きに沿って積み重ねる。1日で出来上がる紋様はずいぶんと狭い範囲だ。ここにきて工事が急にスピードを落としたように感じるが、ここもまた彼らの腕の見せ所なのだろう。今までの豪快とは真反対の作業に没頭している姿は、遠目に見るとかわいらしくさえ見える。
 建築とか建設とかの仕事は、多くの分野の人の集まりなのだとよくわかる。今まであまり縁がなかったから目の当たりにするようなことはなかったが、現場が隣だから手に取るようにわかる。幸いすべての業者が日本人ばかりだから、それも結構若い人が多かったので、まだ大丈夫なんだと安堵した。これが数年後だったら果たしてどうなるのか。日本の不景気でベトナム人も来てくれなくなるとひと月万冊で言っていたが、ひょっとしたら老いた日本人労働者ばかりということにもなりかねない。
 何はともあれ、なんとなく居心地の良い時代を過ごすことが出来た僕らは、逃げ切り族かもしれないが、そのことに関しての後ろめたさとはやはり同居する。日本の栄光と全くかすりもしない世代が、この国をどのように動かしていくのか分からないが、道端に乗り捨てられた錆びた車体の自動車を、懸命に修理し乗る、僕にはそんな光景と重なる。

 

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