居候

 夕方、店頭の看板に明かりを灯しに出てみたら、2羽の燕が頭上を舞った。外階段の踊り場に毎年巣を作るのだが、今年もやって来た。
 燕が巣を作ってくれると縁起がいいと言うことなので、毎年歓迎しているのだが、実際には糞で結構汚れる。もう30年くらい来続けているから、相当の運をもらっているはずだが、取り立てて喜ぶようなものはもらっていない。しいて言うなら不運に巡りお合わずにすんだ運ぐらいなものか。
 どこから飛んでくるのか知らないが、渡り鳥と言うものの力と勇気に感心する。人間ならジェット機で移動する距離をあの小さな体で飛んでくるのだから。そして人間なら海の向こうに見えない陸地があることを知識として知っているが、鳥たちはまだ見たこともない陸地を求めて飛び立つのだから。人類にコロンブスがいたように、燕にもいたのだろうか。
 これから当分、我が家のクールな居候との生活が始まる。