多くの方が空を見上げ、雨雲を恨めしく思っているだろう。雨が少ないと言われる岡山県でも、想像を全する雨の被害を経験したから、もはや例外ではない。記憶にまだ鮮明というより昨日のことのように覚えている。知り合いに雨による被害者が出るなどと言うことは、岡山県では珍しい出来事だったはずだ。
 牛窓は海辺だから川の氾濫はない。台風による高潮が代表的な自然災害だ。ただ背後に小高い山を控えているから、ニュース映像で流れる土砂崩れなども可能性としてはある。ただ運よくその種の災害はほとんど経験していない。瀬戸内沿岸と言う立地が守ってくれているのかもしれない。
 そんなことを考えながら昨日の夕方7時に、薬局のシャッターを下ろし散歩に出た。朝、雨が降っていたが、テニスコートの砂はすでに乾いていた。そして空を見上げるとなんと青空がのぞいていた。空が細長い雲で3つに区切られていて、不思議なことに3つの空の色がそれぞれ異なっていた。すべて青空で、曇天の空から偶然覗いたようなものだったが、それぞれがまるで個性を競っているようだった。西に太陽を下ろした空と、東に前島を従えた空は明らかに違っていた。同じ空なのにこんなに違うのかとしばし見入った。
 もしあの空を届けられるなら、僕の最も愛する先輩のいる高山と岐阜に届けたい。いやいや僕の漢方を飲んでくれている九州の多くの方にも届けたい。