集団

 僕は現代の若者のスポーツ着を知らない。だから早朝見かけた10人くらいの集団が何を専門にしているかは、服だけでは分からなかった。ただ、朝の6時過ぎに集団で県道を駆け抜けていくのだから、牛窓で合宿でもしていたに違いない。となるとヨットのクラブなのだろうか。それにしては走り去った集団のスピードが速かった。中に数人女性も混ざっていたが、背筋をぴんと伸ばしあっという間に目の前を走り去った。走るときに、いやそれ以外の時でもなかなか背筋を伸ばすのはしんどい。背筋が強くないとできないものだ。どうしても前かがみ状態が楽だから、ついつい前傾姿勢になり、だらしなさが浮き立つ。
 そういえば走り去った集団のユニフォームらしきものは黒っぽくて体にすごくフィットしていた。まさか水着で走ることもないだろうが、水の中でも役立ちそうだった。やはり、ヨット部だったのだろうか。それではあのスピードはなんだ。ヨット部をイメージできないが、それなりに体力を要するものなのだろうか。大学生らしき年代だと思うが、ただ若いだけでできるスポーツでもないのだろうか。
 かつて大学で1年間だけ野球部に属していたが、あのような真摯な練習などしたことはない。所詮、薬大の野球部だからお遊びみたいなものだが、こういったところでも僕は青春を劣化させていた。今や首も腰も痛いから走るなどできないが、このところ多くのことを目にしたり触れたりすることが多くなり、後悔だけが集団で僕の頭の中を走っている。