ご飯に味噌汁

 このところ、休日でも牛窓から出ないから、妻曰く、1日中ご飯を作っているような気がする。僕曰く、1日中ご飯を食べているような気がする。
 その日の昼食はサバの塩焼きだった。大根おろしで食べれば、毎日でも食べられるくらい好きだが、子供のころ毎日食べていたらしい妻でもさすがに1週間に一度くらいしか作ってくれない。僕はさすがに牛窓育ちだからサバばかりではないが、それでも毎日夕食は子供たちが釣った魚だった。そして朝食はと言うと「毎日みそ汁と卵焼きだった」妻と「毎日昼食は味噌汁だけだった」僕。ついでに言うと僕が子供の時の朝食は正月以外パンと牛乳だけだった。
 こんな食生活をすればお金なんてそんなにいらない。この2か月くらい我が家では一体どのくらいのお金を使っているのだろうと思う。ひょっとしたら、片手くらいで済んでいるのではないか。田舎で家賃もいらないとなるとそのくらいで生活できてしまうかもしれない。都会の人、特に事業をしている人たちの家賃補助をしてくれと言う訴えがまるでぴんと来ない。いったいどのくらいの家賃を払っていたのだと、結構危うい綱渡りだったってことが見て取れる。わずか1か月か2か月をしのげないとは今までのは虚構だったのかと思う。そうしてみれば田舎のつつましさはこういった時には結構強いのかもしれない。コロナで経済的な悲鳴を上げている人をそんなに聞かないから。確かに漁師もお百姓も安くなったとこぼすが、助けてくれなどとは言わない。笑っているだけだ。田舎には栄耀栄華を極める人はいないが、貧困で足をすくわれる人も少ない。家賃ゼロ、魚は海で泳ぎ野菜は裏庭で育つ。