青天の霹靂

 正に青天の霹靂とはこういうことを言うのだろう。多くの職業人にとってもそうだが、こと医療関係者は特別だろう。
 戦争中なら戦地に赴かされて命を捨てることも多かったと思うが、戦争がない時代に命にかかわる業務に遭遇しようとは思わなかったのではないか。尊敬と経済的な報酬を保証され、受験の最高峰に位置し、能力がある人が大挙するあこがれの職業が、今や命と隣り合わせとは。本人も家族も想定外だっただろう。
 ことこの期に及んでは、名誉とか経済とかを差し置いて、命を救う行動に邁進できるのかどうかが問われる。今までの報酬とは打って変わって、心の目でしか見れないものを報酬として献身的に働けるのか。安穏として名声を享受していた日々から掌を返すように変われるのか。
 ただし僕はそこまでは期待していない。そんな前時代的な気概をもって医学部に進んだ人など少ないだろう。富と名声を目指した人が多いのではないかと思う。平生の暮らしぶりを見ていたら想像がつく。そうした人に命を賭してなどと期待してはいけない。「どうぞご自分の健康にも留意して」レベルで励まさなければならない。中国のように金平糖の前でロボットのように手を振りシュプレヒコールを叫ばされるようになってはだめだ。命を賭して着くような職業がそもそも存在してはいけないのだ。都合の良い時だけ祭り上げられ、英雄視されてはいけないのだ。
 コロナ由来の差別も逆差別(祭り上げ)も空しいだけだ。政治屋やアホコミに乗らされてはいけない。現実はワイドショーではないのだから。