毎年この時期になると楽しみにしているイベントに、備前山麓窯の梅まつりがある。梅を愛でるようなタイプの人間ではないから、梅だけで足を運ぶ僕ではない。当然?あの和太鼓の演奏が、梅が咲き誇る庭園の中で行われるからだ。天気が良ければ、青い空、きれいな空気、梅の香りが楽しめる。そこで和太鼓の心臓を打つ音が堪能できれば幸せこの上ない。本来なら明日、備中温羅太鼓が演奏してくれるはずだったが、梅まつり自体が中止になった。
 梅だけでも十分楽しいベトナム人達もショックは隠しきれないみたいで、仕方がないから牛窓のオリーブ園に行きたいと言ってきた。オリーブ園に上がっても花はなく、梅の代用にはならないと思うのだけれど、コロナが収まるまで人混みに出ることを禁じられているので、苦肉の策かもしれない。オリーブ園から望む瀬戸内海の景色は梅などとは比べることはできないくらい美しいが、今しかないものに、心は動かされるだろう。
 ところで、牛窓大好き人間が教えてくれたのだが、そのオリーブ園に上がれば大山が見えるのだそうだ。にわかには信じられなかったが、具体的な方角を教えてくれた。いやもっと言えばある建物の真上を眺めれば見えるらしい。もっとも、空気が澄んだ日に限るらしいが。瀬戸内海沿いの町から日本海沿いの山が見えるなんて、夢がある。必ず近いうちに挑戦してみようと思う。梅よりは何倍もロマンがある。