問題

 黄色ブドウ球菌は手指などどこにでもいる菌で、熱に強く、湿気があるところで繁殖し、塩分を加えると毒素が産生されるという。こう言われると誰もが気がつくが、おにぎりとの相性がとても悪い。
 
 横浜市立大学の入試に、他人が握ったおにぎりは食べられるかと言う問題がでたらしい。問題の質からして医学部の入試だったのだろうか。この問題を評価している医師が感想を述べていたが、医師らしい興味深い文章だった。
 ヤクザ医師の僕はその方ほどの見識はないが、心情的に歳とともに他人が握ったおにぎりや寿司は食べにくくなった。最近までは何も考えなかったのだが、このところテレビ番組で職人が素手で握っているのを見たりすると食べようとは思わなくなった。味は少し落ちても、スーパーなどでいかにも機械が握ったようなのとか素人がビニール手袋で握っただろうと思えるものの方を選ぶ。手に傷があれば仕事から離れるだろうから、黄色ブドウ球菌までの心配はしない。要は不衛生と言うより生理的にいやなのだ。
 医師の入試だったらこの点は心情論ではやり過ごせない。洞察力を問うのだろうから一番に僕など落ちてしまう。と言うか50年前に実際に落ちた。
 見えないものは怖くない、見なければ怖くない。知らないものは怖くない、知らなければ怖くない。だから日本人は汚部を操る本当の権力や東南海沖地震を怖がらない。目の前で握られたおにぎりは警戒するが、コンビニで売られているおにぎりは警戒しないのと同じだ。
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