野犬

 「インフルエンザにかかったら家で十分水分を摂って安静にする。4,5日以上続く発熱、呼吸困難、胸痛、失神、錯乱状態、ひどい嘔吐が見られるようなら受診をする」  一体どこの機関がこんなことをホームページに載せて注意を喚起しているのかと言うと、アメリカのスタンフォード大学だ。日本ではどうかと言うと、「早期受診 早期診断 早期治療がきわめて重要で、初診時に重症化の有無を判断をするのは難しいから、可能な限り抗インフルエンザウイルス薬の早期投与が必要」だそうだ。  病院や薬局や製薬会社が泣いて喜びそうだ。日本では自力で治すなんてことは推奨されないらしい。薬の力を借りてウイルスの働きを抑えるのだそうだ。これで自己免疫力が備わるのだろうか。ウイルスや細菌と戦ってこそ勝ち得る免疫力と言うものを、そんなに軽んじていいのだろうか。病原性のウイルスや細菌は一杯存在しているのに、そしてそのおのおのに抗ウイルス薬など作れるはずも無いのに、折角自然免疫を獲得するチャンスをその都度潰していいのだろうか。アメリカと日本では圧倒的にアメリカのほうが医学は進んでいる。それなのに、ことこのことに関しては日本が正しいというのだろうか。  一体日本でインフルエンザにかかったら、病院と薬局と製薬会社をどれだけ儲けさせるのだろう。恐らく半端な数字ではない。それが一冬で何百万人の患者が出るとなると、ああ、恐ろしや。税金をいくら払ってもこれではきりが無い。国が借金漬けになるのも無理はない。政治屋はわが身の当選が第一義だから、そして自分の財布には全く影響が無いから、集票マシンの医師会や薬剤師会や経団連のために働く。国民も養生しなくても税金で病気を治してくれるのだから、文句も出ない。皆が丸く幸せに収まる仕組みだ。  かくして人は何処に行くのだろう。ヒトラーみたいなむくんだ顔をした奴に、まるで使用人のように扱われて、顔色を伺って生かされるのか。屈辱も知らないなら我が家のミニチュアダックスと同じだ。山陰から突如現れる牙をむいた野犬は何処に行ったのだろう。