抵抗

 こういった日は必ず勘違いする。日曜日は何とか用事を済ませて5時半(笑点の時間)までには帰らなければと焦るのが常だ。ところが今日は何度かそうした勘違いを防いでくれるものがあったのに、気がつかないまま帰宅した。いつもと違った光景が目に入ってきたにもかかわらず、結局道中では気がつかなかった。  最初は国道に出る寸前のある道路で。ヘルメットに作業着姿の男が数人列を成して歩いていた。僕は道路工事かと思ったのだが、近づいたところで、工場から出てきているところだと気がついた。大きなシャッターが開けられ、中は結構広い空間だった。今まで何年もその前を通っていたのに、そこが工場だとは気がつかなかった。日曜日なのに、この会社は忙しいんだと思った。  2度目は、旭川を下っていたときだ。河口付近に大きな工場がある。野球のグラウンドを擁するくらいだからかなりの規模の会社だ。そこの駐車場は隙間がないくらい車が止められていた。車関連の会社だと聞いていたから、さすが好景気なのだろう、日曜出勤で働いているのだと思った。  3度目は、母が世話になっている特別養護老人ホームでのこと。いつもならかの国から来たスタッフが働いているのに今日はいなかった。勤務中だから仕事のじゃまをするわけにいかず、ほんの短い会話で終えるが、純朴な微笑を返してくれる二人が今日は珍しくいなかった。  最後は、帰り道のバイパスに上がる前のマルナカと言う大きなスーパーでの印象。日曜日の割には空いていた。恐らくよく流行っているスーパーで、いつも人が多い。今日は珍しく人が少なかったので、以前から一度買ってみたかったてんぷらに挑戦した。色々なてんぷらが並べられているが、どうして買ったらいいのかわからない。簡易の容器と輪ゴムがあったのでその中に食べたいものを入れればいいのは分かるが、一体何処で会計をしたらいいのかわからない。そこで同じように買い物をしている女性に尋ねたら、レジで会計をすればいいと教えてくれた。どうして色々なてんぷらの値段が分かるのか不思議だったが、これで次回からてんぷら類を買うことができるようになった。  結局、いつもとは違う光景に触れながら、今日が日曜日ではないということが分かったのは、笑点を見ようとしてテレビをつけたときだ。最近になって、祝祭日も仕事を休むようにしたので慣れていないせいもあるのだろうが、まだまだ人様が働いている日に仕事を休むのには抵抗があるみたいだ。それが如実に顔を現した一日だと思う。