上品

 過日、タレント女医が診療報酬不正請求により逮捕された。言語道断の愚行であり、医師の社会的信用がガタ落ちである。無論、保険医はその良心に従い、不正請求など皆無に近いのであるが、テレビが大々的に保険診療の仕組みなんぞを特集したため、保険医療制度がある程度一般市民に知られるところとなった。それはそれでいいのであるが、世の報道番組はさまざまであり、俗に「ワイドショー」と呼ばれる部類の情報番組は医師に悪意を持つがごとき放送をする場合があり、全ての医師は容易に不正請求ができるがごとく報道されることもあった。コメンテーターも好き勝手なことを言い、おおよそ医療に関係ない、見るからに馬鹿丸出しのタレントが、「自分は健康であり、あまり病院にはいかぬが、医師は信用できない」などとヌカシテいたが、そもそも保険制度のコメントにはほど遠い話であり、つまるところ小麦高騰のニュースに対し、「自分はラーメンが嫌いであり、ラーメン屋に行かぬので小麦は関係ない」などといった意味不明のコメントに等しい。

 ある医師が、インターネットに載せていたコメント(医療系の人しか閲覧できない)だが、同じような考えの人間もいるし、同じような言葉を使う人間もいるものだと思った。お友達になれそうな印象だ。馬鹿丸出しとヌカスは品はないがそれに変わる言葉がないから正しい使い方だ。まあ、僕のアホコミやアホノミクスよりはやや上品だし、浜先生のドアホノミクスよりはよっぽど上品だ。ただ、このお医者さん、この後にはもっと面白い逸話を載せてくれていたのだが、本人(単なる庶民)が見たら分かりそうなので、さすがにそれは遠慮した。思わず読者が笑い転げ、溜飲を下げるのだが・・・残念だ。  アメリカにはメディアドクターと言う制度があって、アホコミに登場する医学知識を検証するらしい。アホコミは受け狙いだけで成り立っている職業だから、何でもかんでもネタにしてしまう。そして悪意に満ちた情報を信じる層の健康と金をボッタクル。合理主義の国らしい検証制度だ。献金と引き換えに野放し状態を勝ち取っているこの国とは大違いだ。  悪より正義のほうが圧倒的に分が悪い最近の国際情勢、国内情勢、電力業界、球界、メディア・・・・医療の世界も同じだ。