晩年

 以前にも書いたが、僕は「変わった人」の知り合いが多い。逆にまともな人は少ない。立派な肩書きや職業を持っている人など皆無だ。僕が苦手なのか向こうが嫌うのか分からないが、若いときからだ。それが今になっても持続しているから若気のいたりなどではなく、僕本来の性格なのだと思う。  今日、その中の変わった人が、もう1人の変わった人が死んだと教えに来てくれた。その変わった人は別に悲しそうな顔をしているわけではない。無味乾燥な日常に現れたちょっとした変化を楽しんでいる雰囲気はあった。ただそれは悪意ではない。あることで町中から白い目で見られている人が、いち早く僕に知らせようと思ってまたとない機会を大いに活用しただけだ。  僕の回りの変わった人達の共通点は、アル中、簡単にお金を借りて返さない、仕事より優先する楽しみを持っている、家族より自分を優先、その結果家族崩壊。見事に共通している。自由に生きると、自業自得が相反するものではなく、自由に生きた結果が自業自得で表現されるくらい落ちぶれるのも共通している。それらの共通点となんら接点のない僕と何故合うのかわからないが、牛窓に帰ってからそれぞれ10年単位くらい関わったと思う。ただそれは長続きせず、全て向こうの理由で去っていった。ある人は法務局に出張し、ある人は特別養護老人フォームの中を徘徊し、ある人は孤独に死んだ。確信犯の晩年は結構哀れなものだ。