老婆心

 ある調査で医師会員を対象に、医師になってから抑うつうつ病症状を経験したことがあるかを尋ねてみたら、 調査期間中に回答した医師2884人のうち、37.1%(1071人)が抑うつうつ病症状を経験したことが「ある」と回答した。「ある」と答えた人に、症状を来したきっかけを尋ねたところ、「長時間労働あるいは過重労働」(40.9%)が最も多く、「執拗に罵倒されるなど、上司、先輩から理不尽な指導を受けた」(26.4%)、「職場の人間関係をうまく構築できなかった」(23.8%)、「リフレッシュする時間が取れなかった」(23.3%)と続いた(図2)。問題視され続けている過重労働がきっかけとなっていたことに加え、上司からの理不尽な指導や職場の人間関係が大きく抑うつ症状、うつ病発症に影響していることが示された。

 医者でもこれだから他の職業の人がウツウツになっても不思議ではない。いや医者でもと言うより、医者だからと言ったほうがいいかもしれない。  僕は医者の世界をよく知らないから、息子を通してしか分からない。だから一般論ではない。息子を見ていてもウツウツなのではないかと思うことがしばしばある。もともと親の前では口数は多くないが、極端に貝になることがある。何の理由か詮索することは避けているが、一度だけ大丈夫?と声を掛けたことがある。アンケートを見て意外だったのは、患者に対してのストレスより同僚に対してのストレスのほうが大きいと言うことだった。クレーマーが一番ストレスだろうと思うがなんとチームのメンバーとは。  朝は6時過ぎには出て行って、午後の7時頃帰るから、確かに良く働いているが、気分転換はもっぱら酒でしているみたいだ。もともと好きなのか手っ取り早いのか知らないが、僕にそのような習慣がないので違和感を覚える。今でこそ夜勤はなくなったが、24時間以上連続で起きていたりしたのだから、それで心うきうきは至難の業だろう。  僕は就職したことがないからよくわからないが、職場ってあんなに飲み会や食事会があるのかと思うくらいある。薬剤師の職場でもそうなのか。患者が治るか治らないかの責任を全て負う仕事だから、オンとオフのけじめをつけたいのだろうが、もっと健康的な方法をとればいいのにと老婆心が頭をもたげてくる。  医者が37%だったら薬剤師にアンケートしたらどれくらいになるのだろう。責任感や労働量に比例するだろうから、医者とは格段に低い数字になると思う。