仕立て屋

 「米国精神医学会が近く公表する精神疾患の新たな診断基準で、子どもや配偶者などを亡くした後の気分の落ち込みを、安易にうつ病と診断する恐れのある改定がなされたことがわかった。うつ病は、「抑うつ気分」「興味または喜びの喪失」の一方または両方と、ほぼ毎日の「不眠や睡眠過多」など、計五つ以上の症状が2週間続き、生活に支障がある場合に診断される。ただし、死別の場合は、症状が2か月以上続く場合に診断できる、と規定されていた。新基準ではこの規定が削除された。背景には、うつ病を早期に治療することを重視する流れがある。だが、子どもや配偶者を不慮の事故などで失った時も、2週間で立ち直らなければ病気とされる可能性があり、日本の精神科医からも疑問の声が上がっている。」

 素人の僕に言わせれば、子供や配偶者を不慮の事故で亡くして2週間で立ち直れる人こそ病気だと思うが、精神科の医者の間ではそうは思わないらしい。特に子供を亡くした親が期限を切って立ち直れなどと言われる筋合いはない。一生哀しさの中で生活するに決まっている。そもそも誰のために立ち直らなければならないのかも分からない。 以前から僕は言っているが、どうも心の病気を増やしたい人達が一杯いて、スクラム組んで病人作りしているようにしか見えない。スクラムを組んでいるのは、製薬会社と医師達だ。恐らく製薬会社の意志が強く働いているに違いない。病人を作ってまで売り上げを伸ばそうとしているようにしか見えない。もっとも、世界的な大手製薬会社の会長が嘗て言っていたように、現代では難病と言われる病気以外の薬は完備されているのだから、もう研究さえする必要もないのだ。それでは売り上げが作れないから、心の病気を増やそうとしているのだろう。でもそれはもうほとんど踏み入ってはいけない領域まで踏み入っている。個人の尊厳を冒しているのではないかと思う。人の感情を化学薬品で左右しようと言うところに強烈な違和感を感じる。  単なるウツウツを見事にうつ病に仕立て、次は死別までもうつ病にする。それが一巡したら何をウツに仕立てるのだろう。