再始動

 「丁寧で、謙虚じゃな」と言われれば薬局を褒めてくれたのかと思うが、実は反対なのだ。昨日ある人を応対した後、妻がしみじみと言った。その相手は買い物をして出て行った女性のことだ。そして妻が言うには「皆そう」  本来ならスタッフがそう言われる為に努力するのだが、僕の薬局は違う。勿論僕たちも失礼がないように気をつけているが、むしろ僕たちより利用してくださる人達の方が丁寧で謙虚なのだ。こんなにありがたいことはない。たまに異分子が混じることもあるが、おおむね善良な人たちに支えられている。市民病院の院外処方箋を受けて、2年、娘夫婦はそれこそ頑張ってくれていたが、この6月でそれから解放されることになり二人はとても喜んでいる。牛窓のためと思って引き受けたが、所詮公なんか責任を取る人間がいないから口からでまかせで、廃院にはしませんと言っていたが、新病院の穴埋めのために辺地を犠牲にする。ただ、そのことによって我が家のストレスは減る。それこそ、丁寧で謙虚な人ばかりが来てくれていたのに、2年前から権利を主張するしか存在を示すことが出来ないような人も紛れ込むようになった。暗黙のうちに僕は利用者を選んでいたが、それが2年前から出来なくなっていた。  最近、息子が書いた処方箋を持ってくる人が少しずつ増えた。主にそれは僕が応対しているが、それこそちょっとしたスイーツを食べてもらいながら養生法まで話す。これは漢方薬の相談を受けたときと同じ応対だ。今まで処方箋を持ってきた人にこんなことをしたことはなかったが、これからはどんどん処方に介入して、病気が治ることに貢献してやろうと思っている。門前薬局と言う下請けの関係では絶対出来ないことだ。ゆっくりと確実に患者さんの希望をかなえる。そんな薬局の再始動だ。