寄付

 その新聞記事を読んだ後、なぜか笑った。笑うしかないだろう。
 大見出しは「市立病院建設へ254億円寄付」と言うものだった。この見出しに興味がわいたわけではなく、割と詳細に読む習慣があるから、この記事も読んだだけだ。
 宝塚市内に住む元会社役員の方が「安心できる市民病院にしてほしい」と市立病院の建て替えのために254億円寄付したらしい。建て替えには397億円必要らしいから6割くらいを彼が払うことになる。
 総合病院を作るのに400億円近くもかかることにまず驚く。正直、本当か?と疑った。誰がどのように儲けるのか知らないが、あの程度の建物に400億円?単なる先入観で払っているんじゃないの?と疑った。寄ってたかって大儲け、そんな構図があるのではないの?と疑った。コンクリートと鉄筋で400億?あまりにも桁が違い過ぎて判断できないが、何故か僕は納得がいかない。
 そして何より、どうして個人がこんなにお金を持っているの?会社の役員、創業者?よく分からないが経営者ってこんなに儲かるのかと、初めてあからさまになった所得と言うか財産に驚愕。僕ら庶民と段違い平行棒どころではない。まさに月とすっぽん。この男性は他にも、太陽光発電から環境を守るために山林を2億円で買ってあげたり、市内に福祉施設やボランティアの支援施設を作るために36億円を寄付している。
 あまりにも縁遠い話なので、僕はこうした行いをする人の本心が分からない。下種の勘繰りをすれば色々なことが言われると思うが、そうした意味でなく、ここまでの善を成す人の気持ちが分からない。僕がそれだけのお金を持っていたら、せいぜい1億円。いやケチって1000万円。いや落としたと思って100万円・・・そして最後には「もったいない」
 このレベルの善良さしか持っていないから、浄財の原資は近寄ってこない。集めるより使う方が難しいと言われるが、僕には両方とも難しく縁がなかった。

https://www.youtube.com/watch?v=GlXw_KBgAyQ