マララさん

 今日世界で1億人?2億人?5億人?10億人の人がある女性の発する言葉を固唾を呑んで待っていた。その中の一人が僕だ。わずか17歳の少女が発する言葉は、凡人が思い浮かべるレベルをはるかに超えていて、マザーテレサの再来かと思わせる。今日はどんな言葉を並べても彼女の発した言葉の前では存在さえ許されない。  朝、新聞に載っていた彼女のスピーチの全文を切り取りラミネートで加工してもらった。当分テーブルの上に置き薬を待っている間に目を通してもらう予定だ。いらぬおせっかいだが、あのスピーチに接する機会がなかった人は不幸だ。取るに足らない権利ばかりを主張して、人に与えることができない先進国と呼ばれている国にすむ人間に、まだ良心というものが心の中で優勢を占めているなら、スワート渓谷の破壊された校舎を思い浮かべるべきだ。  本当は一言一句もらさずに書かなければならないが、恐らくインターネットの中にそれはすでに存在しているだろうから、僕が黄色のマジックで印をつけたところだけ書く。

 二つの選択肢がありました。沈黙したまま殺されるか、声を上げて殺されるか。私は後者を選びました。

 もはや指導者たちに教育の重要性を認識してほしいと訴える段階ではありません。彼らはすでに知っています。自分の子供は名門校に通っているのですから。

 どうして「強い」と言われる国々は、戦争を始めることには力を発揮するのに、平和をもたらすことには無力なのでしょう。どうして銃は簡単に与えるのに、本を与えることは困難なのでしょう。あんなにたやすく戦車を造れて、学校建設がこんなに難しいのはどうしてでしょう。