皮肉

 第3次世界大戦をみたくないから、安倍晋三首相からのミサイル供与の申し出を断った――。フィリピンのドゥテルテ大統領がこんな「発言」をしたと、現地の日刊英字紙フィリピン・スターが15日に報じ、波紋が広がっている。 報道のもとになったのは、ドゥテルテ氏が同日、ダバオ市商工会議所の総会で行ったスピーチ。英語とタガログ語で、首脳会談をしたばかりの安倍首相の名前を挙げ、「安倍にも言ったんだ、私はミサイルは必要としていないと」と述べた。その後、ロシアのプーチン大統領のハッキング疑惑やトランプ米次期大統領に触れ、「もし第3次世界大戦が始まれば、それはこの世の終わりを意味する」と話した。 一方、その前段でドゥテルテ氏は、「安倍氏には軍事同盟は必要ではないと言った。私は外国の軍人がいない国を目指したい」とも述べた。

1兆円援助するわ、ミサイルを供与するわ、いったいかの国の今を、どの程度に捉えているのだろう。貧しくて無教養くらいに思っているのだろうか。ひょっとしたら70数年前と同じように、軍靴で足を踏み入れてもいいくらいに思っているのだろうか。  それにしても「道理で」氏が反戦主義者だとは。数多の人間が日本に殺されたのを見ている親に育てられたからだろうか。アホノよりはそのあたりはしっかりしている。ただし2人とも憲法より己が大事なのは同じ穴の狢だ。  世界で最も富裕な8人が、最も貧困な36億人分と同じ財産を所有しているとの推計が発表された。なんてことだと思うが、世の中を見ているとそれもなんとなく想像できる。毎日爆弾が落ちるところで暮らしている人など仕事もないだろう。家を失い、体の一部を失い、家族を失い、土地を失い、絶望と恐怖と憎しみ以外に何を持てるというのだろう。片や爆弾を落とせば落とすほど儲かる人間がいる。破壊に比例して富が転がり込んでくる。この壮大なる理不尽をいつまで人は許し続けるのだろう。まるで皇帝のごとく振舞う奴らの私兵に、いつの日か銃口を向けられるまで耐えるのだろうか。  爆弾が落ちて出来た巨大な土埃の上を、鳩の群れが飛んでいた。なんていう皮肉。