数字

 備中温羅太鼓の2月公演のチケットが昨日から売り出された。いい席を取るために、いや、安い席を取るために今日岡山まで慌てて買いに行ったのだが、指定のプレイガイドには一番安い席は配布されなかったらしくて手に入れることは出来なかった。今日岡山まで行った唯一の目的がそれだったので、朝寝坊してウォーキングが出来なかった分、当てもなく歩き回ってみようと思った。  と言っても、岡山で歩き回れるところはそんなにない。昔から栄えた表町と駅界隈の2箇所を結ぶあたりだけだ。最近は表町が廃れて駅界隈の一人勝ちの様相を呈している。来月は西日本で最大級の商業施設が駅の傍にできるから、これで勝負あっただ。まだ開業していないのだが、今日表町を歩いて、もうほとんど王手状態だと言うことを再確認した。大げさに言えば区画によれば半分の店がシャッターを下ろしていて、それでもまだ大丈夫と思わせる区画でも、いくつもの店がシャッターを下ろしていた。すれ違う人もまばらで、かつて体をぶつかり合わせながらアーケードの下を歩いた面影はまったくなかった。  駅界隈でも明暗ははっきりと分かれていた。駅から出て北側の商店街は昼間でも暗く、通り抜けるのもためらいそうだった。日の当たらないところには、日の当たらない人たちが似合うのか、あるいは居心地がいいのか、避けて通り抜けたほうがいい雰囲気をかもし出す若者たちがいた。  南側の明るい通りを歩いても、今日はなんだか気がめいった。すれ違う人々はさすがに休日を楽しんでいる人たちばかりだろうから、人が出すオーラはまったくない。それぞれの人たちが本当はそれぞれの力を発揮して日々を充実させているのだろうが、輝きを失った街にすっかり同化している光景が希望を奪う。  子供の6人に1人貧困家庭。にわかに信じられないような数字を今朝の新聞で読み、その余韻を引きずっての徘徊だから、シュプレヒコールのひとつも響かない大通りに、暗澹たる未来を感じ唖然としたのが正直なところだった。