脚色

 正直、これはかなりこたえた。なんてうかつなことをしてしまったのだろうと悔やんだが、悔やみきれないし、ただ、何でそんなミスをと考えるが、うかつ以外の原因を見つけられない。  新しく買い換えた車はまだ半年くらいしか乗っていないような気がするが、それを河川敷に置いたまま離れて帰ってきたら半分以上水に沈んでいた。雨も降っていなかったので、なぜ水かさが増したのか分からない。ただ目の前に起きている光景を受け入れなければならない。すぐにレッカー車を手配して水から上げてもらった。これで動けばもうけものだ。一か八かでエンジンをかけてみた。するとすんなりとエンジンがかかった。天井近くまで水没していたのにエンジンがかかる。ああそうか、これは海の水ではないからダメージが少ないのだと納得した。不幸中の幸いだった。こんな幸運なこともあるのだと、あざなえる縄を喜んだ。  結局は車が動き、又車を買うと言う大きな出費を免れたところで目が覚めたから、最終的にはそんなにいやな夢ではなかった。終わりよければと言うやつだ。なぜこんな夢を見たのだろうと考えると思い当たることがあった。昨夜、ニュースで、どこかのキャンプ場で3人が流されたニュースを見た。キャンプ場のオーナーが映し出されていた。終始不愉快な内容だったが、恐らくそれが脳裏に焼きついて、夢で脚色され再現されたのだと思う。最近の決してこの国を誇れないような多くの出来事が、結構人の心に投影するのだなあと改めて影響力を考えさせられた。よいニュースであふれたら、こんなつまらないおもぐるしい夢などみずにすむのにと残念に思う。  平気で殺したり、平気で盗んだり、平気でだましたり、とても自慢できるお国柄ではない。バカコミが軽蔑するあの国達よりどれだけ勝っているのだろう。