前提

 漢方薬を送っている青年の中で数人がすでに進学先を決めたのだが、喜びにひたすら浸り遊びほうけているのかと思いきや、不安感の方が優勢な人が中にいるので、僕のあの頃を少しだけ紹介する。もう何度も書いた記憶があるので、ほとんど箇条書き程度で書いてみる。

 入学後すぐ野球部に入ったが、1年でやめた。クラブ活動には真面目に参加していたが、クラブが始まる3時頃まではすることがなかったから?一応授業には出ていたかもしれない。問題は野球部を辞めた冬からだ。  ほぼ毎日、お昼前に目が覚めて、おもむろに学校の食堂に直行し、120円で定食を食べる。気が向けば午後の授業の冒頭に出て、出欠をとる教授に返事だけしておき、教室の後ろからそっと抜け出し、又学食に戻り、同じように抜け出した奴らとお喋りをする。その後バスに乗って繁華街(柳が瀬)に出かけ、喫茶店でコーヒーを飲みながら、思想書を読む。夕方になるとパチンコ屋にしけ込み、最終のバスに間に合うように打ち上げてアパートに帰る。アパートに帰ると、みんなで集まってたわいもないお喋りをし、夜も深まる頃から麻雀を夜明けまでする。  これが入学後9ヶ月頃からの僕の規則正しい?生活だ。当時僕の大学は薬大としてはそこそこの偏差値だったが、こんな学生がうじょうじょいた。薬大に行ったのに、薬の勉強はほとんどしなくて、思想書ばかり読んでいた。でもそれが結局はその後大いに役に立った。今不安に思っている人には、あまり前提をつけない生き方を勧める。望んだこととは何故かどの時点でも逆の方ばかり進んで来たが、結局は分相応の所に収まっていたことに今は気づいている。進学しても「今まで」がそのまま繰り返されるようなことはない。思いもかけぬ事に遭遇して、どんな展開が待っているか分からない。そのハプニングを楽しむことが出来るのは若い内だ。変わらないことで精一杯の僕達と違って、変わることで開ける青春期を思う存分スリリングに楽しんでほしい。