会員制

 もう2年になると思うが、町内の薬局さんが廃業してから、そちらを利用していた人が僕の薬局にも来るようになった。同じ町でも、知らなかったような人も来だしたのだが、出来れば来て欲しくなかった人も何人かいる。そうしてみればその薬局さんに結構助けて貰っていたことになる。営業の形態の差か何か知らないが、明らかに歓迎できないタイプの人が結構混ざっている。僕の薬局よりかなり商品の値段を引いて営業していたらしくて、どうでもいいような会話に当初戸惑った。さすがに最近はその様な低次元の会話は誰もしなくなったから助かっているが、総じて言えることは感謝知らずが多い。スタッフ総動員で値段交渉以外のかなりな要求にこたえてあげているから、お礼の一言でも言えばいいのにと思うが、その一言が言えない人が多い。その上挨拶一つ出来ない人もいて、それが嘗てそれなりの肩書きを持っていた老人だなんてことになると、なにをかいわんやだ。  僕の薬局は、父の代から受け継いだ人も多いが、僕が掴んだファンも多い。そうした人達のみがやってくる薬局だった頃の最大の自慢は「客層がいい」に尽きたが、今はそうとも言いきれなくなった。来て欲しくない人には、その気持ちが如実に表れるような応対をして以心伝心を図っているが、未だ完成していない。もし法的に許されるなら、会員制の薬局にしたいくらいだ。