進化

 もう15年以上車を買っていないので、最近の車がどの様な機能を有しているのかほとんど知らなかった。今日車のヘッドランプが切れたのを直しに行ったら、セールスの人が半ば強引に試乗車に乗せてくれた。まるで未開人が都会に出てきたのかと言うくらい、驚きの連続だった。細かいところは忘れてしまったから書けないが、3つだけ覚えている。自分にとっては衝撃的だったのだろう。  まず最初の驚き。でもこれはテレビのコマーシャルで最近よく目にするから、そのもの自体はよく知っていたのだが、実際に衝撃を体験したのは初めてだったから、寧ろ体感したことに価値があった。時速6kmで試乗車を走らせていて、障害物にノーブレーキで迫った。すると突然あたかも人間が急ブレーキを踏んだ如く止まった。その時勿論安全ベルトはしていたのだが体にかかる衝撃は結構強かった。もしこれが数十キロでぶつかったらと想像すると怖かった。あちらの意図とは異なるがよい体験をさせて貰った。 次は、道路の白線を機械の目が追いながら、ハンドル操作を人間がしなくても走ることが出来る機能だ。勿論前の車を追尾して、アクセルもブレーキも踏むことなく走ることが出来る。極端なことを言えば本を読みながらでも勝手に車は走ってくれるって事だ。  3つ目は、それこそ何もしなくても、手も足も一切使わずに、縦列駐車が出来るって事だ。これは苦手な人も多いと思うが、テレビ画面を見ていると、センサーを駆使して、車が勝手にバックで、前後の車の間に割り込んだ。圧巻だった。車庫入れでも難しいのに、縦列駐車を見事にやってしまった。  車に詳しい人ならこんな事は当たり前の話かもしれないが、元々車に興味がない僕としては歓声を上げるしかなかった。何でも壊れるまで使う僕の性格をよく知っているセールスが仕掛けた罠にはまりそうになったが、そこは冷静にショールームを後にした。