単なる自然の営みなのに、その光景はおぞましくさえ見えた。弱い者に味方する人間の本性かと思うが、肝心の人間の世界では弱い者を虐げる風潮がますますこの国では増殖している。見るに耐えない光景が毎日見せつけられる。不愉快な時代に逆戻りさされているように見える。 目の前の古民家を倒し駐車場にしたおかげで、僕の秘密のウォーキング場所から薬局がとても良く見通せる。テニスコートの中を周回しているから、ある辺を歩くときに薬局が目の前に見える。今朝何回めかのその辺を歩いていたときに、薬局の駐車場にカラスが降り立ったと思うとすぐに軒先にあるツバメの巣に垂直に飛び上がるのが見えた。そこには数日前に卵を狙うために自分たちが破壊した巣の残骸がまだあるが、又同じ行動をした。これでもかと言うくらいの執拗さを感じたのだが、同じカラスかどうかは定かではない。ただ同じようにしか見えないから、執拗という言葉を使いたくなる。巣の真下に降り立ち、すぐに巣を目がけて垂直に飛び上がった光景が頭から離れなかった。 残忍さと狡猾を備えた輩ばかりが目立つ時代になった。人間社会でも幅を利かせているのはカラスみたいな奴ばかりだ。烏合の衆とは良く言ったものだ。