習性

 乳ガン手術後からお世話させて頂いている方が、傷跡辺りが毛細血管が浮き上がるようになり少し赤くなったらしい。丁度診察の日だったので医師にその事を報告したら、何か他の薬を飲んでいるのではないかと尋ねられた。その女性は何も飲んでいないと答えたそうだ。それはそうで、同時期に同じ手術を受けた年下の女性に比べても元気で、体重も増加傾向にあるような状態だから、下手に漢方薬を止められたら困る。どうしましょうと女性に尋ねられたが、漢方薬でその様な反応を起こすことも考えられないし経験もない。ただ、医師にその様な質問を受けたから女性もさすがに気になり、2種類飲んでいる僕の薬の中で一つを休んでみましょうかと言った。  そう言った判断は良くあることで正しい。ただ僕はずっと引っかかっていた。何となく解せないのだ。ところが今朝中学校のテニスコートを周回しているときにふと気がついた。 お医者さんが女性に尋ねた「何か他の薬」は、恐らく風邪薬や頭痛薬、その他数多ある血小板を減少させる現代薬のことだ。何か他の病気で病院にかかっていないか心配したのではないか。昨日は、女性の医者に嘘を言った武勇伝ばかりが印象深かったが、ことの本質を今朝になって歩きながら思いついた。  早起きは三文の得ならぬ、早起きは三問を解くだ。早朝何も考えなくても良い時間なのに、頭はすでにフル回転する。僕の悪い、いや損な習性だ。