調査

 ああ、何てことだ、僕に貼られたレッテルが「文系・低所得層・非正規雇用者・無業者」とは。自分ではどれにも当てはまって欲しくないと思っているのだが、かの有名な慶応大学の偉い人から見れば所詮僕も4つを満たしている下層の人間なのだろう。  東日本大震災原発事故が「家計に与えた影響」について、慶應義塾大学が調査を続けている。 調査は震災前と震災直後、さらに夏の節電を経験した後の家計行動の変化を追跡したものだが、 そこではっきりと浮かび上がってきたのが、 「原発事故・放射能への不安や恐怖は、文系・低所得層・非正規雇用者・無業者ほど大きい」 という統計的事実だったらしい。 こんなデータが出たものなら、放射能の不安や恐怖を口には出来なくなる。人前で言おうものなら上記のレッテルをあっという間に貼られてしまう。そして恐らく村八分になってしまうだろう。あっ、ひょっとしたらそれが目的の調査なのではないか。結果もひょっとしたらねつ造しているのではないか。あれからもう権威というものを信用できなくなったから、名前が通っていいればいるほど疑ってかかるようになってきた。  でもやはり僕は臆病でいよう。どんなに他人によく見られても、不健康に甘んじることはない。いやそれどころか寿命をあんな奴らに縮められてはかなわない。自分たちは安全なところに逃げる財力も知恵もあるから、いざというときのための準備は整えているだろう。可哀相なのは庶民だ。多くのものを奪われて、未だ溜飲を下げることも出来ない。いつまでも健康でいて、いつか奴らが断罪され檻の中で屈辱を味わうのを見届けなくては世の公平を疑う。 世論調査か誘導か知らないが、なりふりかまわずここまでするか、で世の中溢れている。