民族

 やはり今日、僕は偉大な発見に確信を持った。 すでに数年前から感じていて単なる偶然かと思っていたのだが、ここまで誰一人漏れることなく見せつけられると最早民族的なものに間違いはない。礼儀作法とかというものではなく、恐らく骨格の問題ではないか。だから意識しても出来ないのではないかと思うのだ。 所詮無理なものを期待しても仕方ない。ただ一つその事を除けばとても優しくて気がつき、向学心に燃えた申し分ない女性達なのだから。だからこそ最初そのギャップに悩んだが、今では僕の発見通りの背景に確信を持っているから違和感はない。寧ろその堂々とした歩き方に親近感さえ覚え始めた。  今まで多くのかの国の若い女の子と親しくなったが、なんと全員が外股で歩く。まだ裕福ではないからかもしれないが、全員がスリムで、足を強く外へ外へとけり出すのだ。その蹴り様がしとやかなどというものではないから、一見御法度の裏街道を歩いている人のように見える。勤勉でしとやかな女性が外股で、それも何人か揃って歩いている姿を想像すると、異様を通り越して勇ましくさえ感じる。  まるでモデルのように内股で腰を振りながら歩く必要はない。民族の誇りと勘違いしそうな堂々とした外股歩きに自尊心の足音がカラカラと音を立てる。