僕のコンサート、いや間違った。福山雅治のコンサートに行くのも大変なみたいで、準備に余念がない。今年最後のコンサートは横浜で数日ぶっ通しであるらしく、そのうちの1日がとれたと言って泊まりがけで行くらしい。それくらいは田舎のハンディーで我慢するが、その女性はダイエットに励んでいる。何人の観客が入るのか知らないが、席がどのあたりなのか知らないが、とにかくダイエットして格好良くしておかないと、会場でノリノリになれないのだそうだ。福山雅治に至近距離で会い、ハグの一つでもしてもらうのだったらその努力も評価するが、なんだか無駄な努力のように部外者には見える。 せっかく僕は元気にする処方を作り続けて、ヘルペス口内炎も出なくしてあげたのにこの寒い時期に過酷なダイエットをするから両方を一度に出して来た。唇は溶岩ドームになり、口の中は潰瘍になり痛い。無理するからだと言っても聞く耳は持っていない。今は何よりも外見が優先なのだ。スリムで色白で冷え性の3大要素を備えなければならないらしい。それだけ揃えれば僕の言う過敏性腸症候群にでもなってしまいそうだが、それでも尚美しさが優先だ。  話を聞いていて一体1人の歌手がどのくらいの経済効果をもたらすのだろうと思った。エステに通い、服を買い、ホテルを予約し、新幹線に乗る。恐らくもっと僕の知らないような出費もいるのだろう。その金額に数万人を掛けるととんでもない数字になる。牛窓に移住して来てくれると簡単に過疎から脱却できそうだ。それにしても、職安に通い、ひんしゅくを買い、歯医者の予約をし、自転車に乗る僕とは大違いだ。たったこれだけの顔の造りの差だけなのに。