お告げ

 今朝はいつもより1時間近く遅く目が覚めたので、モコの用足しの散歩も1時間遅れた。久し振りの朝からの太陽で、木陰にいなければ暑く感じる。木陰に陣取ってモコの動きを目で追っていたら、草むらの上に広がる小さな土手に沢山の光るものを発見した。大きさは小さな真珠の珠くらいだろうか、いやもっと実際には小さいのかもしれない。おおむね鮮やかな銀色に光っていたが、時に金色や紫色のもあった。見つけた場所からモコのゆっくりとした移動に合わせて、光る珠も土手づたいにずっと点在していた。最初の一つを見つけたときは草の中で光る金属片かと思っていたが、数の多さや光の綺麗さからすぐにそれではないことは分かった。これは解決しておかなければならないと思ったので、一つの光るものに狙いを定めて近づいて観察した。するとそれはまだ短いススキの葉の上に昨夜降った雨の滴が所々に留まっていて、それに朝陽が反射して色々な光を放っていることが分かった。虹色が全部そろっても良さそうに素人ながら思ったが銀色がほとんどだった。でもその輝きは相当なもので、十分日が昇って回りが明るいのに、緑の草むらに星のように輝いていた。さながら自然が織りなすプラネタリウムだった。気が利いた人ならそこでデジカメか携帯電話で録画して「投稿DO画」にでも出して、世界中から「なんてすばらしいんだ」なんて絶賛のコメントがもらえるのに。何しろ機械音痴の僕だからこうして文章に残すしかない。記憶よりも文章の方が確実だし。 毎日世間のさび付いた光景ばかり見せられているから、いくつかの偶然が重なって出来た小さな宝石に心が慰められた。今日こそはいいことがあるぞと期待するほど験担ぎではないが、それでも密かに期待していたら、弟から送られてきたブドウの食べ過ぎで大下痢をした。しんどかった。朝のあの幻想的な光はいったい何のお告げだったのだ。