なでしこジャパン

 詳しくは知らなかったのだが、なでしこジャパンというのは、ほとんどアマチュアと言ってもいいくらいなのだそうだ。有名な澤選手などはプロ契約なのだろうがそれでも収入は月30万円くらいなのだそうだ。そう言った人達が良く頑張ってワールドカップを制したものだと思う。いやそう言った人達だからこそやり遂げたのではないかとも思ったりする。  日本人は、と言うより多くの国の人もそうだと思うが、逆境にある人達の頑張りにより感動する。僕などひねくれ者だから、若くして億の金を稼ぐ男子のプレーを見ても何の感動も覚えないし、何の連帯も感じない。夢を与えるなんて言われるといらぬお世話だと思ってしまう。たかがボールを蹴るのが得意なだけで、あの報酬はないだろう。たかが経理が得意な人、たかが魚を獲るのが上手な人、たかが野菜を作るのが上手い人、たかが家を建てるのが上手い人、たかが子供に勉強を教えるのが上手い人、たかが火を消すのが上手い人、たかがお客さんを目的地に運ぶのが上手い人、たかがうどんを作るのが上手い人、たかが車を直すのが上手い人、そんなたかがとどこが違うのだ。同じようなものではないか。何ら特別なことはない。それによって利益を得る人がいるからそのたかがに不釣り合いな報酬を与えてしまう。ある日ふとそんな当たり前のことに気がついたから、僕にとっては多くの興業が多くの虚構になった。  シャッターを揺らす音がしないから今外に出てみたら、なま暖かい風は吹いているが雨は上がって、すでに道は乾き始めている。朝から大きな雨と強い風がいつ始まるのだろうと不安げに天気予報ばかり見ていたが、たかが天気を良く当てる人の予想通り、急激に台風は進路を東にきったのだろう。なでしこたちは多くの人に感動を与えたが、たかが天気を良く当てる人も何千万人の命を守っている。