逃げ道

 欧米人と日本人の危機意識の違いはこれだけあるんだと思わせる数字だ。危機意識を数値化することは難しいが、いみじくもこの具体的な数値を拠り所にすればその差に気がつく。アメリカ軍は原発から80Km外に撤退した。日本人は30Kmにラインを引いてその外は安全だという。それどころか最近になったら、何の意図が隠れているのか知らないが、朝から登場する学者が安全ばかりを強調している。極めつけは救助隊員は急遽被爆を倍まで許されることにしたことだ。人命を救助する人はつい1週間前までの限度の倍まで許すというのだ。こんな事を偉そうに許されても嬉しい人なんか一人もいない。 欧米人どころか中国人やインド人も続々と日本から離れている。一見おおらかに見える大陸の人も危機に関しては敏感だ。それに反して日本人はおおらかなのか、鈍感なのか勇気があるのか分からないが、勝手に引かれた線で安心している。おまけに、40年前に原発を誘致したことで得た莫大な利権を得たはずの輩に対して悲しいほど寛容だ。その当時甘い汁を吸った輩やその後継は当然今でも存在しているから、生活を返してくれと言うべきだ。いつの世も貧乏くじをひくのは一般庶民だ。何のおこぼれも頂戴したこともないのに、危機にだけは晒される。 そんなに安全なら東京に作れと訴えてきた声は現実にかき消されたが、今又安全地帯から遠隔操作で駒のように動かされるのも又しても庶民なのだ。そんなに安全なら自分達が来て対処しろと誰も叫ばない。  すぐには健康被害が出る数値ではない、レントゲン3回分くらいにしか相当しない・・・繰り出される言葉を鵜呑みにするほど僕は勇気はない。レントゲンさえいやいや撮っているのだから。何処かしら逃げ道が用意されているような言葉のシャワーにうんざりする毎日だ。