電気自動車

 何を思ってそんなことを教えてくれたのか分からないが、説得力は無茶苦茶あった。それで新車を買おうとは思わなかったし、それで買うまいとも思わなかった。「まだ乗れる」唯一の理由を駆逐するほどの理由付けにはならなかった。  安全で知られる外車の販売店の責任者が教えてくれたのだが、電気自動車が普及しないのは、まだ技術的に乗り越えれない障壁があるためではなく、単に、自動車産業で働いている人の解雇を、それも莫大な数の解雇になるらしいのだが、防ぐだけのためらしい。車の開発はもちろんのこと、充電ステーションのインフラ整備なども簡単に本当は出来るらしい。ガソリン車に比べて極端に少ない部品で出来上がる電気自動車が普及したら、それこそ下請け工場などほとんどが不要になるらしい。もっとも時々テレビなどで見かけるが、高校生がソーラー自動車を走らせるくらいだから、恐らくメーカーにとっては簡単すぎるくらいだろう。環境に優しいなどと言うのはメーカーも政治屋もお題目だけで、実際は失業者が増えるのを恐れているだけなのだ。物作りだけが繁栄をもたらすと思っている輩だから、それ以外に人材を生かす発想は浮かばないのだろう。  こんな奴らだから福島のことなんか気にも留めていないだろう。自分たちが犯罪者だってことも思いもつかないばかりか、貪欲に火事場泥棒に徹している。道徳のどの字もない奴らが道徳を庶民に押しつけたがっているのだから、あの手この手で着々と庶民の首を絞めてくる。それを招いているのがなんとしたことか当の庶民だから救いようがない。  体よくあしらわれている。このところとみにその思いが強い。